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髄膜炎(ずいまくえん)という病気を知っていますか?「なんだか難しい字が並んでいてよくわからない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
私も調べるまでは何の病気なのか、どんな病気なのか、まったくわかりませんでした。
しかし調べてみるとこの髄膜炎という病気は決して軽くみてはいけない病気ということがよくわかり、知ることができてとてもよかったと思っています。
皆さんもこの記事を読んで、ぜひ髄膜炎についての知識を少しでも得ていただければと思います。
Contents
髄膜炎とは?
髄膜炎とは読んで字のごとく髄膜に炎症を起こしている状態のことです。そもそも髄膜とは体のどの部分なのでしょうか。
髄膜とは別名、脳脊髄膜ともいい、この髄膜は硬膜、くも膜、軟膜の3つの層からできています。そして、髄膜は脳と脊髄を覆っている膜のようなもので、脳と脊髄を守る役割を果たしています。
脳卒中の1つである、くも膜下出血という病を皆さん一度は聞いたことがあると思います。
実はこの病も髄膜が関係する病で、髄膜の1つであるくも膜の下の動脈が破れて出血が広がることによっておこる病気なのです。
髄膜炎の原因
髄膜炎になる原因は1つではありません。
どのような原因でも主症状として頭痛、首の痛み、吐き気、発熱、けいれん、などが共通して現れますが、ウイルスによるものやがんによるものなど、さまざまな原因によって引き起こされるのです。
髄膜炎の原因は感染症が原因となるものと非感染症が原因となるものの2つに分けられます。
感染症が原因となるものには、ウイルス性髄膜炎、細菌性髄膜炎など他にも多数があります。対して、非感染症が原因となるものにはがん、自己免疫疾患、抗生物質などの薬剤などがあります。
髄膜炎の原因
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この記事では感染症を原因とする髄膜炎の中でも、特に髄膜炎菌によるものの症状や感染経路などについて詳しくお教えします。
髄膜炎菌とは
髄膜炎菌は、まわりを莢膜(きょうまく)という厚い膜に覆われた細菌です。他にもインフルエンザ菌b型や肺炎球菌など皆さんがよく知る細菌の中にも莢膜を持っている細菌がいます。
また、髄膜炎菌には人の持っている免疫機能によっては排除することが難しい、体内で増殖しやすい、などの特徴があります。
髄膜炎菌にはたくさんの種類があり、少なくとも13の種類(A,B,C,D,X,Yなど)はあります。そして、特にその中の5種類(A,B,C,Y,W)が病気の原因となっています。
髄膜炎菌は髄膜炎にかかった人だけでなく、健康な人の鼻やのどの粘膜にも存在しています。健康保菌者の割合は世界ではおよそ5~20%ですが、日本ではおよそ0.4%と非常に低い割合です。
この髄膜炎菌の感染経路は主に飛沫感染で、咳やくしゃみによって人の鼻・のど・気管の粘膜に移り感染します。
髄膜炎菌の特徴
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ごくまれですが髄膜炎菌が血液や髄液に入り、敗血症など重症な症状が出てしまうことがあります。
髄膜炎菌が血液や髄液に入り感染症が進行していく状態になることを侵襲性髄膜炎菌感染症と呼びます。この感染症の症状の一つとして髄膜炎が起こります。
侵襲性髄膜炎菌感染症
このトピックでは侵襲性髄膜炎菌感染症の「症状」「注意すべき特徴」「かかりやすい時期」の3つについて説明していきます。
症状
侵襲性髄膜炎菌感染症の症状はまず菌血症を引き起こします。
菌血症は血液中に細菌が存在している状態のことで、のどや鼻などの粘膜に存在する細菌が何らかの原因で血液中に侵入することで発症します。
この菌血症の状態では39度以上の高熱などカゼとよく似た症状がみられます。
その後、感染者の免疫力が低下するとさらに敗血症へと進展します。この敗血症は全身に炎症反応を起こしている状態で以下の症状がみられます。
敗血症の症状
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この敗血症の恐ろしいところは血流を減少させ、血が全身に巡りにくくすることです。
さらに症状が悪化すると生命維持にかかわる臓器が壊死することもあり、死亡率が高い病気です。
そして、敗血症の症状がさらに悪化すると髄膜炎、髄膜脳炎に進展します。
髄膜炎には以下のような症状が主に現れます。
髄膜炎の主症状
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髄膜炎は長期的な後遺症を残す割合が高く、死に至ることもある非常に重い病です。
注意すべき特徴
侵襲性髄膜炎菌感染症の恐ろしい特徴は
- 気づきにくい
- 進行が早い
- 死亡率が高い
の3つにあります。
まず、侵襲性髄膜炎菌感染症の初期症状は発熱、頭痛、吐き気などそれほど重い症状ではありません。
それゆえに、「カゼかな?」と軽く考え症状がまだあまり進行していない軽い段階で病院に行くことが難しいです。
これが原因で病院に行った時点でかなり症状が悪化していることが多いのです。
それでも、「症状が悪化してからすぐに病院へ行けばまだ大丈夫なのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、侵襲性髄膜炎菌感染症の恐ろしいところはそう思ったときにはたいてい間に合わないところまで症状が進行しているということです。
侵襲性髄膜炎菌感染症の進行スピードは異常に早く、驚くべきことにたった24~48時間、およそ1~2日で死に至る病気となります。
この異常なほどの進行スピードの理由は髄膜炎菌の増殖スピードが他の細菌に比べて早いことにあります。
子供が夜に症状を発症したので明日病院に連れて行こう、ではもう取り返しのつかない状態になってしまっていることが多々あるのです。
最後に、侵襲性髄膜炎菌感染症は死亡率が非常に高いです。
治療を行わない場合約50%、治療を行っても約5~10%と治療を行っても必ず助かるというわけではありません。
このことからも死亡率が非常に高いことが分かると思いますが、さらに恐ろしいことに、この病気は回復した場合でも後遺症が残る可能性が高いです。後遺症には手足の切断、言語障害、耳が聞こえにくくなる、などがあります。
かかりやすい時期
侵襲髄膜炎菌感染症にかかりやすい年齢は0~4歳の乳幼児の時期と10代後半の思春期の時期です。
0~4歳の子供の時期にかかりやすい理由はまだ子供の免疫がしっかりしていないせいです。対して、10代後半にかかりやすい理由は人との接触が多くなるからです。
10代後半は中学校から高校にかけての時期です。この時期は特にクラブ活動での合宿など、狭い共同空間での生活が多くなり、多くの人との接触が最も多くなります。
また、髄膜炎菌は唾液を介して感染します。この10代後半は友達同士での飲み物の回し飲みなども頻繁に行ったりする時期であることも、10代後半が侵襲性髄膜炎菌感染症にかかりやすい理由の一つになっています。
予防方法
侵襲性髄膜炎菌感染症を予防する一番の方法はワクチンを接種することです。
ワクチンを接種するタイミングは以下の時期です。
ワクチン接種のタイミング
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接種するワクチンは髄膜炎菌ワクチンというワクチンで、国内承認済みワクチンであるメナクトラ、輸入ワクチンであるMenveo®、Bexsero®、Trumenba®があります。
輸入という言葉にこのワクチンが安全か心配になる方もいるかもしれません。しかし、このワクチンは安全なので心配はありません。
ワクチンなので注射の跡が赤くなったり、痛くなるなど注射でみられる副作用は起こる可能性があります。しかし、髄膜炎菌ワクチン特有の副作用などはありません。また、ワクチンの効果はおよそ80~95%の確率で効果が現れます。
しかし、これらのワクチンは風疹ワクチンのように1度や2度接種すればその先ずっと効果があるわけではなく、接種から5年で効果が失われるそうなのでその点に注意しなければいけません。
気になる費用の方は予防接種を受ける病院で異なりますがおよそ1回1万円~2万円ほどです。
他にも子供が注意すべき感染症
子供の時期にかかりやすく注意すべき感染症は侵襲性髄膜炎菌感染症の他にもたくさんあります。なので、ここでは子供がかかりやすい感染症についていくつかご紹介します。
感染力が極めて強く重い病気で命にかかわることもあります。
子供の症状はさほど重いものではありません。妊婦がかかるとおなかの子供に障害が残る可能性があります。
水疱ができ、とてもかゆく、強くかくと跡が残ったりします。
耳の下の部分が腫れ、痛みを伴うこともあります。
冬に大流行します。
下痢や嘔吐などを引き起こすことを特徴とします。
これらすべての感染症に共通しているのはワクチン接種によってその感染を防げることです。
ワクチン接種は感染症予防に非常に有用ですので、子供には積極的に予防接種を受けさせてあげることが髄膜炎菌感染症のみならず他の感染症に対しても最も重要な予防になります。
まとめ
髄膜炎とは髄膜に炎症が起こることによって、頭痛や発熱、けいれん、発疹などを引き起こす病気です。
髄膜炎には原因がいくつかあり大きく分けて感染症が原因となるものと非感染症が原因となるものに分けられ、感染症が原因となるものはさらにウイルス性髄膜炎と細菌性髄膜炎に分けられ、髄膜炎菌による髄膜炎は後者に分類されます。
髄膜炎菌による感染症は侵襲性髄膜炎菌感染症と呼ばれ、症状が悪化していくと髄膜炎を引き起こします。
侵襲性髄膜炎菌感染症の特徴は、「気づきにくい」「進行が早い」「死亡率が高い」の3つの点にあり、とても恐ろしい感染症です。
侵襲性髄膜炎菌感染症にかかりやすい時期は、免疫がまだしっかりしていない0~4歳の乳幼児の時期と、人との接触がとても多くなる10代後半の思春期の時期です。
この時期に合わせてワクチン接種をすることが髄膜炎菌感染症の予防に最も効果的です。
子供の時期にかかりやすい感染症はいくつもありますが、ワクチンを接種することによって感染を防げる病気も多いので、予防接種を積極的に受けさせることが髄膜炎はもちろんのこと、多くの感染症に対する一番の対策となります。
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